カイユボット展には、弟マルシャルが撮影した写真も80点展示されていて、当時のパリのドキュメントとしても興味深いのですが、マルシャルは音楽家としても真剣に活動をしていたようです。
マルシャルはドビュッシーと同じ1873年頃にパリ音楽院(コンセルヴァトワール)に通っていて、同じ先生マルモンテルからピアノを学んでいたという記録があるそうです。音楽に打ち込んでいたそんなマルシャルの姿をカイユボットが描いた絵が《ピアノを弾く若い男》です。
左の絵:《ピアノを弾く若い男》1876年/ブリヂストン美術館蔵
カイユボット展の音声ガイドを利用すると、この絵の説明の時などにドビュッシーの音楽がBGMで流れるのですが、まさに同じ頃に生きていた作曲家の音楽だと知ると、一層感慨が深まりました。
会場には《ピアノを弾く若い男》に描かれているものと同じエラール社のピアノが展示されていて、製造年代もほぼ同じとのこと。そして11/26日、このピアノで演奏するコンサート「カイユボットとパリの音色」が開催されます。プログラムを見ると、カイユボットの作品にちなんだ同時代の音楽家ドビュッシーやサティの曲のほかに、マルシャルが作曲した曲も演奏される予定です。このピアノで奏でられる音楽はどんな音色なのでしょう。チケットはすでに完売で、私もこの日は残念ながら出席できないのですが、行かれる方はぜひご堪能下さいね。
でも、今回のコンサートに行けない方にも朗報。マルシャルが作曲した音楽のCDがフランスのレーベルから発売されているのを見つけました。
カイユボット:復活祭の荘厳ミサ曲(イル=ド=フランス・ヴィットリア地方合唱団/ピクマル)
CAILLEBOTTE, M.
Messe solenelle de Paques (Ile de France Vittoria, Piquemal)
ネットで一部試聴できるので聴いてみたところ、荘厳ミサ曲の重厚さをたたえつつも、絹のような柔らかな音色の印象がありました。
CDのカバージャケットはもちろん(?)《ピアノを弾く若い男》の絵です!
photos: ©Mayumi Ishii