「カイユボット展 ー都市の印象派」が始まり、1週間が経ちました。この展覧会はさまざまな意味で、本当に貴重な展覧会です。
というのも、作品の目録一覧を見るとわかりますが、カイユボットの絵画は、個人蔵が非常に多いのです。彼が裕福で絵を売る必要がなかったことが理由の一つ。また、彼がコレクションしていたモネやルノワール、ピサロなど印象派の絵をフランス政府に寄付すると遺書に書いた時、自分の作品を含めていなかったのです。なので、彼の作品は個人が多くを所有してきて、美術館に収められている作品が比較的少ないのです。有名な作品で個人蔵のものも今回ブリヂストン美術館に集合しているので、大変に貴重な機会だと思います。
そして、この展覧会にはカイユボットが生前、印象派展に出品した作品も12点展示されています。うち9点が個人蔵なので、実物をじっくり鑑賞できるまたとないチャンスです!
会場で鑑賞できる印象派展出品作品は以下の12点。
●第2回印象派展
《ピアノを弾く若い男》ブリヂストン美術館蔵:写真左
《マルシャル・カイユボット婦人の肖像》個人蔵
《建物のペンキ塗り》個人蔵
●第4回印象派展
《ペリソワール》ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵
《シルクハットの漕手》個人蔵
《イエールの平原》個人蔵
《読書するウジェーヌ・ドフレーヌの肖像》個人蔵
●第5回印象派展
《室内ー窓辺の女性》個人蔵
●第7回印象派展
《見下ろした大通り》個人蔵
カイユボットは印象派展に出品しただけでなく、開催に力を貸して会場費用を払ってあげたり、印象派展に参加する画家たちのとりまとめをしたりと、印象派を助けるパトロンとしても大きな役割を果たしました。
《シルクハットの漕手》1877年頃 ©Private Collection
この絵も個人蔵。見るなら今!ボートに同乗している気分になる作品です。彼の右側にさりげなく置かれたジャケットまで描かれているのが面白いです。カメラの広角レンズで被写体をど真ん中にして撮影すると遠近感とともにダイナミックさが出て効果的ですが、そのような構図がまさに写真的。
それにしても、どの絵を見てもカイユボットの作品は色のバランスも絶妙というか、好みというか、見ていて落ち着きます。
会場には印象派展の当時のカタログも展示されています。CAILLEBOTTE と名前も記されているので探してみて下さいね。