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ブリヂストン美術館 カイユボット展ブログ

~写真家Mの視点によるカイユボットの魅力~

味わい深い人物像たち

12月に入り、「カイユボット展 ー 都市の印象派」の最終日29日が近づいてきました。前にも書きましたが、カイユボットの作品はパリのオルセー美術館やマルモッタン・モネ美術館などに数点所蔵されているものの、ほかの多くは個人蔵です。なので、通常は一般公開されておらず、今回のようにたくさんの作品が集まっている展覧会は本当に貴重。ぜひお見逃しなく!と声を大にして言いたいです。私は2回見に行きましたが最終日までにできればもう一度観賞したいところ。

 

カイユボットの作品は遠近感のある構図の強さが魅力ですが、描かれた人物が持つたたずまいも非常に味わいがあります。人物像を描くにしても、ルノワールの作品のように微笑んだ人物ではなく、その時の表情をすくい取ったような横顔を描いているものが多いですよね。性格までうかがえそうな。《昼食》ではカイユボットのもう一人の弟ルネがプレートの肉(?)をナイフで切るのに集中している表情。これは素描(カイユボット展のカタログに掲載)では、ルネがプレートの上に本をかかげて読書している図だったのも興味深いのですが。《室内ー読む女性》は新聞に集中している表情、《編み物をするボワシエール夫人》は編み物。《アンリ・コルディエ》は書き物に集中しているまなざし。どれも、日常の人の行為を観察しながらスナップ写真を撮ったかのような雰囲気にあふれていて面白いです。そこに彼の美的視点での色使いや構図などを加え、写真とは違う、彼ならではの絵画になっているんですね。《室内ー読む女性》の絵では、奥で寝そべっている男性がソファのサイズに比べてどうしてあんなに小さいのでしょう!?

 

そんな人物画の題材として「マグロワール親父」という人を描いた作品が2点ありました。

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《樹木の下で横たわるマグロワール親父》1884年(アソシアシオン・デ・ザミ・デュ・プティ・パレ、ジュネーヴ蔵)

 

マグロワール親父は、カイユボットが時々訪れていたノルマンディー地方にいたマグロワール・ローワンという庭師とのこと。どちらの絵もブルーの作業用風の服を着たカジュアルな雰囲気で、1点は日の当たる木立の下でうたた寝をしている絵。やはりスナップ風です。もう1点は、なんとなくずんぐりとした体型、歩きぶり、手の所作の感じなどからマグロワール親父さんのキャラクターが浮かんでくる味わいある作品です。また、木立の影にカイユボットらしいパープル気味の色が使われていたり、秋らしい草むらの色使いなどがまさにカイユボット風印象派スタイル。これから見に行く方はマグロワール親父もぜひお見逃しなく!

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 《サン=クレールからエトルタへの道を行くマグロワール親父》1884年 (アソシアシオン・デ・ザミ・デュ・プティ・パレ、ジュネーヴ蔵)