ブリヂストン美術館 カイユボット展ブログ

~写真家Mの視点によるカイユボットの魅力~

カイユボットを追ってパリに行きました。

はじめまして!

 

ギュスターヴ・カイユボットという画家を知っていますか?

 

フランス印象派の絵画に詳しい方ならきっとご存知のことでしょう。19世紀の後半、印象派初期の時代にルノワール、モネ、ドガ、ピサロなどと親しく交流し、彼らを支えて印象派展開催の手助けをしたり、たくさんの絵を買ってあげ、遺言でフランス政府に寄付をした印象派の守護神。そして、本人も「都市の印象派」として位置づけられている画家です。

 

そんなカイユボットは、これまでコレクターとしてのほうが有名で、画家としてはそれほど広く知られていませんでした。彼が裕福だったので絵を売る必要がなかったこと、45歳で亡くなったので、それほど多数の絵を残していないからのようです。でも、近年、フランスやアメリカなどで回顧展が相次ぎ、彼の画家としての才能が広く見直されるようになったそうです。

 

他の印象派の画家に比べて、カイユボットの絵は写真との関連をよく指摘されます。実は、私はカイユボットについてよく知りませんでした。でも、彼の代表的な絵を1点見た時にまず思ったことは「まるで24mmの広角レンズで撮ったみたい!」。構図、視点、まさに写真的なのです。さらに他の絵をいろいろ見て、ますます写真と共通点があるな〜と思いました。技術的なこと以外に、題材の選び方も。カイユボットはフランスが近代化する時代の最中に生きた人です。そういう時代を切り取ったような作品を描く目に、なんだか写真家的なセンスを感じたのです。そんなことから、私がカイユボットについてのブログを書くご縁になりました。写真家Mとは石井真弓と申します。

 

10月からブリヂストン美術館で開催される「カイユボット展」は日本で初めてカイユボットの全貌を紹介する回顧展だそうで、とても楽しみにしています。

 

カイユボットってどんな人?そんな好奇心を抱きながら先月、パリを訪問し、彼の足跡を巡る旅をしてきました。カイユボットが暮らしたパリの家や郊外イエールの別荘を訪ね、彼が描いた絵と同じ視線の場所に立ち、パリの街を歩き、光を見て、オルセー美術館でカイユボットの時代の美術を専門にする学芸員さんに会ったりなどなど。カイユボットの実物の絵ももちろん観てきましたよ。

 

パリでの旅の収穫も交え、これからカイユボットについて書いていきますね!

 

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 カイユボットが31歳から住んでいた、パリ9区オスマン通りの邸宅。左下に見える黒っぽい屋根の建物です。なんとオペラ座の裏手。大型百貨店ギャラリー・ラファイエット本店のほぼ向かいという、日本でいったら東京の銀座みたいな場所でしょうか。カイユボットの裕福ぶりがうかがえます。

 

この夏、パリに旅行される方はぜひご覧になってみてくださいね。