ブリヂストン美術館 カイユボット展ブログ

~写真家Mの視点によるカイユボットの魅力~

お題キャンペーン「ブリヂストン美術館賞」を発表します

秋がますます深まってきましたが、芸術の秋を堪能していますか?

 

2013年10月31日(木)〜11月13日(水)にはてなブログさんと実施しました『ブリヂストン美術館「カイユボット展」キャンペーン』にご参加いただきありがとうございました。

みなさんから寄せられた「芸術の秋」をじっくり読ませていただきました。

 

選考の結果、見事「ブリヂストン美術館賞」に選ばれました5名様を発表します!

 

ブリヂストン美術館賞」5名様

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エスパス ルイ・ヴィトン東京/「Infinite Renew(無限の再生)」森万里子 - 式部のニート的放浪日記


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特別お題「芸術の秋」 2 - 夜明ヶ原
 
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美術館に行こう 絵見るって意味あんの? - oohaman5656's blog 
 
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日本橋でカイユボット展 - roundabout midnight

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我が家の「芸術の秋」 - お腹空いてる日記

 

受賞されたみなさんには、後日(週明け以降)はてなさんから賞品の送付先情報(住所、氏名など)の確認のため、登録メールアドレス宛てにメールが届くと思いますので、ご確認ください。

 

カイユボット展は12月29日(日)までですので、期間中に招待券を受け取れるように、はてなさんからメールが来たらお早めに返信をお願いします!

 

受賞された5名の方以外にもたくさんの素敵な「芸術の秋」を投稿していただきました。楽しく拝見しました。皆さまも是非、たくさんの「芸術の秋」を読んでみてくださいね!

 

 

「特別お題「芸術の秋」」を含むブログ - はてなキーワード

 


 

都市の直線を切り取る目「建物のペンキ塗り」

カイユボット展がスタートして1ヶ月。先日、ブリヂストン美術館を再訪したところ、チケット売り場に列ができるくらい多くの人々がいて、とても盛況の様子でした。

 

あらためてじっくりと作品を見て、まさに都市の印象派だな、と思った絵はこれです。

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《建物のペンキ塗り》(1877年)個人蔵 ©Private collection        

この絵はカイユボットが第3回印象派展に出品した作品です。ブリヂストン美術館に展示中の《ヨーロッパ橋》《マルシャル・カイユボット夫人の肖像》と一緒に出品されました。

 

建物や整備された道路など、直線が支配的に多い風景は、東京にも共通して、近代的な都市を象徴する印象があります。その点でこの絵は、旧市街にない真っすぐな広い道路など、当時急速に近代化しつつあったパリの町を象徴しているように見えます。

 

また、この絵についての美術館の解説に「われわれが日常的に経験する構図の面白さの発見を喚起しているのでは」とあり、なるほどと思ったと同時に、その視点が写真にも共通していると思いました。写真を撮る時も、カメラのファインダーを通して目の前にあるものの光や構図の面白さを探しますが、都市の光景では直線の強いラインが作るアングルにグラフィックな面白さが見つかることが多いです。特に広角レンズで。

 

《建物のペンキ塗り》の絵も、広角レンズで見たような、遠くまで続くまっすぐな道路建物、そしてペンキ塗りの脚立が強いラインを作っています。そこに曲線的な人物が描写され、効果的なポイントに。カイユボットは、古いパリとは違う直線的な都市の風景に面白さを感じて絵を描いたのかも?と思いました。そして、それはきっと当時、斬新な視点だったのでしょうね。

 

ペンキ塗りの人々の服装やたたずまいからは、当時の労働者の雰囲気が伝わってきますね。そういう意味でこの作品は、当時の時代をさまざまに表現するドキュメンタリー写真のような雰囲気を醸していて面白いです。

 

会場にはカイユボットの弟、マルシャル・カイユボットが撮影した写真もたくさん展示されています。その中から「労働者」と題された写真を見つけました。

 

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                                                                     ©Private collection

右:《街路灯から降りる(コンコルド橋)、1891年12月》

左:《凱旋門の修理現場で働く労働者たち、 1892年2月》

 

大きな脚立や労働者を被写体としているところが《建物のペンキ塗り》に共通していますね。カイユボットが絵を描いたのは1877年。マルシャルが写真を撮ったのは1891年。もしかすると、カイユボットが描いた脚立の絵からヒントを得た可能性も?そんな風にカイユボット兄弟の絵と写真を比べながら展覧会を見ると、またとても面白いです。

 

ところで、はてなブログのお題キャンペーン「芸術の秋」が昨日(11/13)締め切りになりました。たくさんのエントリーをいただいたそうです!なので、選出に1週間ほどかかるそうなのでもうしばらくお待ちくださいね。

 

 

 

井の頭線の渋谷駅で目撃。カイユボットフラッグ。

文化の日の連休ですね。

昨日、渋谷駅から井の頭線に乗る時に見つけました。

カイユボット展のフラッグ!

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ブリヂストン美術館のサイトによると8種類のフラッグを展示しているそうです。それぞれの絵に合わせたキーカラーがいい感じ。手前の絵《ペリソワール》には、黄色がよく似合います。

私的には、側の売店の上部に書かれた「日本初!」の文字がツボです。カイユボット展の開催がまさしく日本初!であることをPRしてくれているような(笑)。

 

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この女子高生たちも見に行ってくれるといいな。

 

フラッグの掲出は11/3(日)までだそうなので、井の頭線をご利用の際には、ぜひ目にとめてみて下さいね。

カイユボット展のチケットが当たります。お題は「芸術の秋」!

日に日に秋が深まっていくこの頃ですね。朝の光が美しい季節です。

 

まさに芸術の秋たけなわの今、はてなブログに「芸術の秋」のお題が登場しました。しかも、ブリヂストン美術館「カイユボット展 ー都市の印象派」展の開催を記念して、カイユボット展のチケット(図録、トートバッグ付き!)が当たる楽しみも!

 

ブログを書いてカイユボット展のチケットを当てよう! - はてなブログ

 

今回は、はてなブログはてなダイアリーをご利用の方が対象ですが、ぜひご参加くださいね。投稿の締め切りは11/13なので、来る連休中に芸術の秋を満喫してみるのも良いかも?

 

 

 

 

ブリヂストン美術館館長さんの「カイユボット展アートセミナー」

先週、テレビ番組「美の巨人たち」でカイユボットの《ヨーロッパ橋》が取りあげられた後、このブログもドーンとアクセス数が増えました。やっぱりテレビの影響って大きいのですね。

 

ブリヂストン美術館で展示してある《ヨーロッパ橋》の絵は、その大きなサイズと展示してある高さ的に、じっと見ていると自分がふっと絵の中に入って、橋の上を歩いて行けそうな感覚になるのは私だけでしょうか。

 

ちなみに、現在もあるヨーロッパ橋はこんな感じです。

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カイユボット展をさらに楽しむためのイベントがあるのでご紹介します。

10/25に、ブリヂストン美術館の島田紀夫館長さんが講師としてお話する「カイユボット展アートセミナー」が開催されるそうです。場所は丸の内。

 

カイユボット展 アートセミナーのお知らせ | ブリヂストン美術館

10月25日(金)19:00~20:30

場所:丸の内カフェSEEK

料金:2000円(鑑賞券1枚、1ドリンク付き)要予約

 

カイユボット展の開催を発表する記者発表会が夏に行われた時、島田館長さんがお話しされたのですが、ヨーロッパ橋などゆかりの地をやはり訪問した時の写真を披露していて、《ヨーロッパ橋》の絵に描かれている犬まで写真で再現する努力をしていたのを見て以来、密かに館長さんのファンです(笑)。

 

セミナーは予約が必要とのことですが、セミナーの料金に鑑賞券がセットになっているので、島田館長さんのお話を聞いてからカイユボット展を見に行くのも良さそうですね!

 

また、毎週水曜日と金曜日の15時からはブリヂストン美術館ホールで、学芸委員さんによるスライドトークも行われているので、時間がある方はぜひ。私もスライドトークのある日にまた展覧会を見に行こうかなと思っています。

photo: ©Mayumi Ishii

 

印象派展のカイユボットの作品たち

「カイユボット展 ー都市の印象派」が始まり、1週間が経ちました。この展覧会はさまざまな意味で、本当に貴重な展覧会です。

 

というのも、作品の目録一覧を見るとわかりますが、カイユボットの絵画は、個人蔵が非常に多いのです。彼が裕福で絵を売る必要がなかったことが理由の一つ。また、彼がコレクションしていたモネやルノワールピサロなど印象派の絵をフランス政府に寄付すると遺書に書いた時、自分の作品を含めていなかったのです。なので、彼の作品は個人が多くを所有してきて、美術館に収められている作品が比較的少ないのです。有名な作品で個人蔵のものも今回ブリヂストン美術館に集合しているので、大変に貴重な機会だと思います。

 

そして、この展覧会にはカイユボットが生前、印象派展に出品した作品も12点展示されています。うち9点が個人蔵なので、実物をじっくり鑑賞できるまたとないチャンスです!

 

 会場で鑑賞できる印象派展出品作品は以下の12点。

 

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●第2回印象派

《ピアノを弾く若い男》ブリヂストン美術館蔵:写真左

《昼食》個人蔵
 
●第3回印象派
《ヨーロッパ橋》アソシアシオン・デ・ザミ・デュ・プティ・パレ蔵

《マルシャル・カイユボット婦人の肖像》個人蔵

《建物のペンキ塗り》個人蔵

 

●第4回印象派

 《ペリソワール》ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵

 《シルクハットの漕手》個人蔵

 《イエールの平原》個人蔵

 《読書するウジェーヌ・ドフレーヌの肖像》個人蔵

 

●第5回印象派

《室内ー読む女性》個人蔵

《室内ー窓辺の女性》個人蔵

 

●第7回印象派

 《見下ろした大通り》個人蔵 

 

カイユボットは印象派展に出品しただけでなく、開催に力を貸して会場費用を払ってあげたり、印象派展に参加する画家たちのとりまとめをしたりと、印象派を助けるパトロンとしても大きな役割を果たしました。

 

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《シルクハットの漕手》1877年頃 ©Private Collection

この絵も個人蔵。見るなら今!ボートに同乗している気分になる作品です。彼の右側にさりげなく置かれたジャケットまで描かれているのが面白いです。カメラの広角レンズで被写体をど真ん中にして撮影すると遠近感とともにダイナミックさが出て効果的ですが、そのような構図がまさに写真的。

 

それにしても、どの絵を見てもカイユボットの作品は色のバランスも絶妙というか、好みというか、見ていて落ち着きます。

 

会場には印象派展の当時のカタログも展示されています。CAILLEBOTTE と名前も記されているので探してみて下さいね。

 

 

「美の巨人たち」に『ヨーロッパ橋』が登場します。

 今日はテレビ番組のお知らせです。

 テレビ東京美の巨人たち」の次回の放送に、カイユボットの作品『ヨーロッパ橋』が登場します!

 

美の巨人たち

10月19日(土)22:00ー22:30(テレビ東京

カイユボット「ヨーロッパ橋」

 

予告編を見たら、「なぜここまで極端なワイド画面なのか」と。どんな解説が繰り広げられるのか楽しみですね!

 

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『ヨーロッパ橋』(写真右)はカイユボット展の「近代都市パリの風景」セクションに展示されています。

 番組の前に作品を見るか、後に見るか・・。どちらにしても味わいが深まりそうですね。