昨日(8月22日)発売の雑誌「Hanako」に「カイユボット展―都市の印象派」
が掲載されました。
http://magazineworld.jp/hanako/1048/
「体感アート!」が特集で、秋にオススメの展覧会として紹介されていますので、
是非ご覧ください!
(カイユボット展広報事務局)
昨日(8月22日)発売の雑誌「Hanako」に「カイユボット展―都市の印象派」
が掲載されました。
http://magazineworld.jp/hanako/1048/
「体感アート!」が特集で、秋にオススメの展覧会として紹介されていますので、
是非ご覧ください!
(カイユボット展広報事務局)
カイユボットの作品は「都市の印象派」と呼ばれています。
たしかにモネやルノワールなどに比べて、彼の作品には、パリの街や人々を描いたものが多い気がします。描いた場所は、現在でも地名をはっきり特定できるものもあり、そのいくつかを訪問してきました。
まずは、彼の代表作の一つでもある「ヨーロッパ橋」。
《ヨーロッパ橋》1876年、ジュネーヴ・プティ・パレ美術館蔵 (c)Association des amis du Petit Palais, Genève
この絵を初めて見た時に、24mmぐらいの広角レンズで撮影したような構図だなと思いました。奥に続く橋の強いライン、そして奥行き。左の男性の顔のあたりが構図のVanishing point(消点)ですね。
広角レンズは、風景の中でのアクションを上手くとらえやすい特徴があります。絵の中の散歩するカップルもそうですが、歩いていく犬がまさにそんな感じ。犬が歩くリズムや尻尾が揺れているような気配さえ感じます。しっかりと影まで描き、この地理の方角的に考えると、遅い午前中のよう。日常を切り取ったような視点が大変に面白いです。じーっと見ているとだんだん写真のように見えてくるのは私だけでしょうか。
この場所がパリに今も残っているというのでさっそく訪れて写真を撮ってみました。
ヨーロッパ橋のある位置は、サンラザール駅に向う線路の上にかかるウィーン通りです。当時、橋はきっと新しかったことでしょう。現在、橋の上の部分が違うデザインになっていますが。歩道は今も同じぐらいの幅があり、絵の奥にある建物も昔とほぼ同じような形で残っているのが興味深いです。
カイユボットの時代は、今のようないわゆる35ミリの一眼レフカメラはまだ登場していなかったのですが、カメラを通してのぞいてみると、やっぱり24mmレンズに収まる構図が浮かんできました。
続いては「パリの通り、雨」(エスキス)。
《パリの通り、雨(エスキス)》1877年、マルモッタン・モネ美術館蔵 (c)Musée Marmottan Monet, Paris, France / Giraudon / The Bridgeman Art Library
これも写真で撮ってみました。
ここはダブリン広場に向ってトリノ通りを南から北へ見る光景です。石畳はもうないものの、当時の建物が残っていますね。
この場所に来る前に、マルモッタン美術館で実物の絵を見た時、きっと道路が坂道になっているのでは?と思っていたところ、現地に行ったらやはり手前から奥へ上る形のゆるい坂道になっていました。これも広角レンズアングルですね。取材の時にお世話になったパリ在住のジャーナリスト南陽一浩さんにモデルになっていただきました。南陽さん、ありがとうございました!
写真を撮っていると、隣にあるカフェからちょうど出てきた女性(写真右)が「カイユボットの絵の写真を撮っているんでしょう?」と南陽さんに話しかけてきました。なんと彼女は「パリの通り、雨」の絵のレプリカポスターを持っていて、自宅の家に飾っているのだそうです。私たちが撮影を始めたので、すぐにピンと来たとか。カイユボットが絵を描いたその場所で思わぬ交流ができた楽しいひとときでした。
上の2点の絵画作品はどちらも10月からのカイユボット回顧展で実物を見ることができる予定だそうです。
ところで、カイユボットが生まれた1848年は、ナポレオン3世が選挙で大統領に当選した年です。その後、ナポレオン3世は皇帝に即位し、パリの大改造に着手。オスマン通りを始めとする大通りを新しく敷設したり、古い建物を潔く取り壊して大規模に都市整備をしたりと、現在のパリのおよその形を作ったそうな。カイユボットは町の近代化が進む変化の時代の渦中にいて、日々、動いていくパリの姿を見ていたのですね。
時代の過渡期にある街というものは、写真家にとっては大変に魅力のある被写体です。私がカイユボットをとても面白いと思ったのは、彼が絵画でそんな時代をスナップして切り取ったような作品を残していることです。マルモッタン美術館とオルセー美術館を訪問して彼の絵の前に立ち、その思いを強くしました。時代を見て、切り取る目を持っている人だったのかなと。次回はそういう作品について書こうと思います。
はじめまして!
ギュスターヴ・カイユボットという画家を知っていますか?
フランス印象派の絵画に詳しい方ならきっとご存知のことでしょう。19世紀の後半、印象派初期の時代にルノワール、モネ、ドガ、ピサロなどと親しく交流し、彼らを支えて印象派展開催の手助けをしたり、たくさんの絵を買ってあげ、遺言でフランス政府に寄付をした印象派の守護神。そして、本人も「都市の印象派」として位置づけられている画家です。
そんなカイユボットは、これまでコレクターとしてのほうが有名で、画家としてはそれほど広く知られていませんでした。彼が裕福だったので絵を売る必要がなかったこと、45歳で亡くなったので、それほど多数の絵を残していないからのようです。でも、近年、フランスやアメリカなどで回顧展が相次ぎ、彼の画家としての才能が広く見直されるようになったそうです。
他の印象派の画家に比べて、カイユボットの絵は写真との関連をよく指摘されます。実は、私はカイユボットについてよく知りませんでした。でも、彼の代表的な絵を1点見た時にまず思ったことは「まるで24mmの広角レンズで撮ったみたい!」。構図、視点、まさに写真的なのです。さらに他の絵をいろいろ見て、ますます写真と共通点があるな〜と思いました。技術的なこと以外に、題材の選び方も。カイユボットはフランスが近代化する時代の最中に生きた人です。そういう時代を切り取ったような作品を描く目に、なんだか写真家的なセンスを感じたのです。そんなことから、私がカイユボットについてのブログを書くご縁になりました。写真家Mとは石井真弓と申します。
10月からブリヂストン美術館で開催される「カイユボット展」は日本で初めてカイユボットの全貌を紹介する回顧展だそうで、とても楽しみにしています。
カイユボットってどんな人?そんな好奇心を抱きながら先月、パリを訪問し、彼の足跡を巡る旅をしてきました。カイユボットが暮らしたパリの家や郊外イエールの別荘を訪ね、彼が描いた絵と同じ視線の場所に立ち、パリの街を歩き、光を見て、オルセー美術館でカイユボットの時代の美術を専門にする学芸員さんに会ったりなどなど。カイユボットの実物の絵ももちろん観てきましたよ。
パリでの旅の収穫も交え、これからカイユボットについて書いていきますね!
カイユボットが31歳から住んでいた、パリ9区オスマン通りの邸宅。左下に見える黒っぽい屋根の建物です。なんとオペラ座の裏手。大型百貨店ギャラリー・ラファイエット本店のほぼ向かいという、日本でいったら東京の銀座みたいな場所でしょうか。カイユボットの裕福ぶりがうかがえます。
この夏、パリに旅行される方はぜひご覧になってみてくださいね。
10月10日から、東京・京橋のブリヂストン美術館で”カイユボット展”が開催されます!
▼展覧会特設サイト
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/caillebotte/
この時を待ち望んでいた方はもちろん、
「カイユボットって誰?どこの人?」
「印象派とか好きじゃないし。。。」
という方にも、興味を持っていただけること間違いなしのブログを写真家Mさんにお願いしました。
なぜ写真家なのか・・・?
そんな謎もこのブログで解き明かされますよ。
7月から本格開始予定なので、どうぞご期待ください☆
まずは、本日開催された記者発表会の模様を少しご紹介。
ブリヂストン美術館のホールにて。盛況。期待感がうかがえます。
島田館長、カイユボットの作品「ヨーロッパ橋」を自ら再現した様子を語る。
担当学芸員の新畑さん。
これからどうぞよろしくお願いします!
(カイユボット展広報事務局より)